30代になると、家族の肉体的な衰えや、同僚の出世、友人の結婚など、さまざまな変化を感じやすくなります。
起業をしてたくさんの収入を得ている人や、フリーランスとして年収をどんどん高めていく人を見ては、自分が取り残されているように感じることもあるでしょう。
このように世間とのズレを感じることで、焦りや迷いを感じ始めてしまいます。しかし、どのように動き出せばよいのか、わからないことが多いのではないでしょうか。
そこで今回は30歳の方が知っておきたい、焦りや迷いを払しょくするための対策を解説していきます。民間企業の調査をもとに、世間の貯金額についても紹介するので、お金の不安がある方もぜひ参考にしてみてください。
30代が抱える人生の迷い
30代が抱える人生の迷いとして、仕事と結婚が挙げられます。まずは、それぞれの迷いについて整理してみましょう。
迷い1.「このまま同じ仕事をしていてよいのか?」
20代のころは、初めての仕事をこなすのに精いっぱいで、わき目もふらずがむしゃらに働いていた方も多いのではないでしょうか。しかし、仕事に慣れていくにつれて、会社の悪い部分を考える余裕が生まれ、働き方に不満を持ってしまいがちです。
初めから自分に合っている会社や仕事を見つけられれば幸いですが、自分に適した働き方ができずに転職を繰り返す方も当然います。
人によって就業状況は異なりますが、最終的に30代になったとき、リーダーとしてのポジションになっていければ、給料も上がっていくことになります。
しかし、スキルや能力によってはうまくキャリアアップできずに、給料が上がらないケースも少なくありません。また、成果を出していても正当に評価されないケースもあります。
ちなみに、株式会社ビズヒッツによる「30代の転職に関する意識調査」では、「待遇や職場環境への不満」が転職理由のトップであることがわかりました。
いずれにせよ、会社の待遇に不満がある状況下では、「このまま同じ仕事を続けていても
よいのだろうか?」という迷いは尽きないでしょう。
迷い2.「本当に結婚して大丈夫だろうか?」
終身雇用制が当たり前であった時代においては、夫が仕事をして妻が専業主婦として家事に専念をするという家庭も、当たり前の光景でした。
しかし、1980年には専業主婦世帯が1,100万世帯でしたが、2020年には571万世帯まで減少。1950年付近で共働き世帯のほうが多くなり、現在の共働き世帯は1,240万世帯まで増加しました。最終的に、専業主婦世帯と共働き世帯の数が完全に逆転しています。
したがって、男性と女性が結婚したときに、家事と仕事を完全に分担できない時代となりました。働きながら子育てを強いられる女性にとっては、「本当に結婚して大丈夫だろうか?」という迷いが生じてしまっても無理はないでしょう。
参考:専業主婦世帯と共働き世帯 1980年~2020年(独立行政法人労働政策研究・研修機構)
30代の迷いと向き合うための対策
では、仕事と結婚の迷いと向き合うためには、どのような対策を講じていけばよいのでしょうか。
対策1.仕事編
まず、仕事についての対策を考えてみましょう。
スキルがあるにもかからず正当な報酬が得られていないのであれば、適切な評価制度を整備している企業に転職することで、給料を高められる可能性があります。たとえば、最近では年功序列ではなく成果主義を重視する企業も登場しています。
“三菱ケミカルは2021年4月、事前に職務内容を定めて成果で処遇する人事制度を、非管理職の一般社員にも導入する。勤続年数ではなく社内で果たす役割や成果に応じ、賃金や社内で就けるポストが決まる。”
引用:三菱ケミカル、成果主義を全面に 一般社員にも導入(株式会社日経HR)
もし成果を出す自信があれば、このような成果主義の企業を検討してみるとよいでしょう。
しかし、現実は甘くはありません。転職をしてもうまくいかないリスクがあり、なかなか踏み出せない方もいるはずです。
その場合、会社を辞めずに収入を高める方法も検討しましょう。現在は、副業や兼業が国によって推進されています。
“副業・兼業は、新たな技術の開発、オープンイノベーション、起業の手段や第2の人
生の準備として有効とされており、「働き方改革実行計画」において、副業・兼業の普
及を図るという方向性が示されています。“
引用:副業・兼業の促進に関するガイドラインわかりやすい解説(厚生労働省)
インターネットで企業とマッチングして単発の業務を依頼してもらえるサービスも浸透しつつあります。業務時間外に自分のペースで取り組めば、収入を少しずつ高められるでしょう。
対策2.結婚編
結婚に迷ったときの一つの判断基準として、参考になる調査結果を紹介します。
マイナビウーマンで公開されている調査によると、「迷いながらの結婚はやめるべきだと思いますか?」という質問に対して、「はい」と答えた方の割合は70.1%となりました。
専門家によると、結婚をして大丈夫かどうか迷ったら、まずはパートナーに現状の不安を伝えることが重要だといいます。
もし本音で話しをできない関係であれば、その後の結婚生活でも同じことを繰り返してしまうとのことです。
たしかに、お互いが自分の不安を隠しながら結婚してしまった場合、後で悩みを打ち明けたとしても、後戻りできなくなってしまいます。
具体的な例としては、パートナーの両親が病気を抱えていれば介護の負担も増えてしまうでしょうし、パートナーが借金を抱えていれば家計のやりくりも大変になってしまうでしょう。
反対に不安をお互いに包み隠さず共有でき、解決方法を一緒に考えてくれるパートナーであれば、その後の試練も乗り越えられるはずです。
参考:恋愛・婚活アドバイザーが回答! 結婚に迷いが出たらどうすればいい?(マイナビウーマン)
30代の貯金はどれくらいを目標にすればよい?
30代になると、出産や育児、老後などを見据えてお金の不安が増大していきます。自分の貯金に自信が持てない方や、今後目指すべき貯金額の目標がわからない方など、貯金に関する不安も多いのではないでしょうか。
世間における貯金額の実情や目標などのデータを紹介するので、今後の貯金額を決めるための参考にしてみてください。
30代の貯蓄額の実情
2021年3月に発表されたSMBCコンシューマーファイナンス株式会社による調査結果を確認してみましょう。
「30代・40代の金銭感覚についての意識調査 2021」によると、30代・40代の男女を対象に「現在貯蓄できているお金はいくらあるか?」という質問を行った結果は下記の通りです。
0円:16.7%
50万円以下:23.8%
50万円超~100万円以下:12.3%
100万円超~200万円以下:7.3%
200万円超~300万円以下:5.8%
300万円超~400万円以下:2.1%
400万円超~500万円以下:7.7%
500万円超~1,000万円以下:12.2%
1,000万円超:12.1%
ちなみに、30代・40代の貯蓄額の平均は283万円とのことでした。貯金額が100万円以下の割合を算出すると52.8%となります。
参考:30代・40代の金銭感覚についての意識調査 2021(SMBCコンシューマーファイナンス株式会社)
30代の貯蓄額の目標
30代の貯金目標額を決めるうえで、ソニー生命の意識調査が参考になります。
「社会人1年目と2年目の意識調査2021」によると、社会人2年生が考える30歳時点の目標貯蓄額は下記の通りです。
100万円未満:2.6%
100万円~200万円未満:13.6%
200万円~300万円未満:7.6%
300万円~400万円未満:10.8%
400万円~500万円未満:4.0%
500万円~600万円未満:19.8%
600万円~1,000万円未満:9.2%
1,000万円~2,000万円未満:25.2%
2,000万円以上:7.2%
ちなみに、社会人2年生が考える30歳時点の目標貯蓄額の平均は740万円でした。上述した30代・40代の貯蓄額の実情を踏まえると、理想と現実のギャップに大きなずれがあることがわかります。
参考:社会人1年目と2年目の意識調査2021(ソニー生命保険株式会社)
白か黒かを決めない考え方も大事
30歳で人生の方向性に迷っている方は多いかもしれません。しかし現実は、白か黒かで解決できる悩みよりも、明確な解決策が見つからない灰色の悩みのほうが多いといえます。
たとえば、新型コロナウイルスがよい例でしょう。今までならうまくいった仕事が、突然うまくいかなくなったケースは珍しくありません。飲食業界や航空業界など、さまざまな業界が打撃を受け、企業や飲食店が生き残りをかけて打開策を模索しています。
学校のテストであれば、先生の授業をよく聞いて必要なことを覚えれば、それなりに高得点を得られます。
しかし時代の激変によって、こうすれば人生が成功するという方法は、さらに不明瞭になったといえます。
したがって、世間で言われている「30歳だからこうしなくてはならない」というルールも、不確実性を帯びてきていると考えられます。
そんな時代に生きる30代に知っておいてほしい言葉が、「ネガティヴ・ケイパビリティ」です。ネガティブ・ケイパビリティーとは、事実や理由を追求するのではなく、不確実な状態や答えがでない状態に耐える能力です。
専門家によると、人間の脳は不確実な状況が苦手であり、せっかちに答えを出そうとしてしまいがちであり、複雑な状況で答えを安易に導き出すと、理解がより高い次元に発展しないといいます。
たしかに、知人が転職してうまくいったからといって、自分が転職で成功するとは限りません。深い自己分析や綿密な企業分析を行わなければ、ミスマッチングによって転職前より劣悪な労働環境に身を移す事態も容易に想像できます。
ネガティブ・ケイパビリティーの考え方にもとづけば、「みんな結婚し始めたけど、私も結婚しなきゃダメかな?」「給料がずっと上がらないけれど、転職したほうがよい?」などという悩みに対しても、すぐに答えを出さずいったん棚にあげて真摯に向き合う姿勢も大事だといえます。
参考:複雑な課題を解くカギは「耐える力」にある? ネガティヴ・ケイパビリティの技法を学ぶ(産経新聞)
“30歳から人生変わった”といえる未来を信じる!
以上、30代の方が抱く人生の不安や悩みを和らげる考え方や、貯金の目標額の目安を紹介しました。迷いや焦りを打ち払う対策や、世間の貯金額に関する実情を知って、少しは不安や悩みが和らいだ方もいるのではないでしょうか。
しかし、人によって悩みはさまざまです。すぐには解決できない大きな悩みを抱えている方も少なくないでしょう。ただ、悩みがあるからこそ人は、理想的な生き方にたどり着いたり、人の気持ちがわかるようになったりします。
悩んでいる最中では、「どうして自分だけうまくいかないのだろう…」と自暴自棄になってしまうこともありますが、後になってみるとあのときに悩んでいたことがパッと消え去り、自分が成長していることに気づくこともあります。
最終的に、“30歳から人生変わった”といえるような未来を信じると、今の不安がさらに和らぐのではないでしょうか。このような前向きな姿勢で、あらたな一日一日を刻んでいきましょう。
レポートを踏まえて
仕事や結婚で悩むという30代。これらの先に何を描くかが鍵を握ります。
仕事や結婚をゴールとせずに、あなたの人生のゴールを描くのです。
どんな風に生きるのか。生きたいのか。という視点から捉えたら
仕事や結婚の悩みは枝葉の部分に当たるはずです。
不安や恐れにフォーカスを当てるのではなくて、
夢や希望にフォーカスをすることで
あなたが発するエネルギーが変わります。
この生きる姿勢が、あなたの現実を変えます。
たった一度の人生を満喫する。
未来を信じる気持ちですね。
あなたが変われば、世界が変わります。
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